三島由紀夫の名言(2)
忘却の早さと、何事も重大視しない情感の浅さこそ人間の最初の老いの兆しだ。
復興には時間がかかる。
ところが、復興という奴が、又日本人の十八番なのである。
どうも日本人は、改革の情熱よりも、復興の情熱に適しているところがある。
人間、正道を歩むのはかえって不安なものだ。
「・・・したい」などという心はみな捨てる。
その代わりに、「・・・すべきだ」ということを自分の基本原理にする。
そうだ、ほんとうにそうすべきだ。
この世のもっとも純粋な喜びは、他人の喜びをみることだ。
なぜ大人は酒を飲むのか。
大人になると悲しいことに、酒を呑まなくては酔へないからである。
子供なら、何も呑まなくても、忽ち遊びに酔つてしまふことができる。
愛するということにかけては、女性こそ専門家で、男性は永遠の素人である。
感傷といふものが女性的な特質のやうに考へられてゐるのは明らかに誤解である。
感傷的といふことは男性的といふことなのだ。
幸福がつかの間だという哲学は、不幸な人間も、幸福な人間も、どちらも好い気持ちにさせる力を持っている。
時の流れは、崇高なものを、なしくずしに、滑稽なものに変えてゆく。
若い世代は、代々、その特有な時代病を看板にして次々と登場して来たのだった。
女性はそもそも、いろんな点でお月さまに似てをり、お月さまの影響を受けてゐるが、男に比して、すぐ肥つたりすぐやせたりしやすいところもお月さまそつくりである。
小説家のほうが読者より人生をよく知っていて、人に道標を与えることができる、などというのも完全な迷信です。
小説家自身が人生にアップアップしているのであって、それから木片につかまって、一息ついている姿が、すなわち彼の小説を書いている姿です。
人生には濃い薄い、多い少ない、ということはありません。
誰にも一ぺんコッキリの人生しかないのです。
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