カントの名言には「恩知らずとは、卑劣さの本質だ」、「最も平安な、そして純粋な喜びの一つは、労働をした後の休息である」などがあります。
ドイツ古典主義哲学(ドイツ観念論哲学)の祖とされるイマヌエル・カント(1724~1804)の名言をご紹介します。
カントの生涯
氏名 | イマヌエル・カント |
英語名 | Immanuel Kant |
生年月日 | 1724年4月22日 |
没年月日 | 1804年2月12日 |
享年 | 79(歳) |
国籍 | ドイツ |
出生地 | プロイセン王国ケーニヒスベルク(現在のロシア領カリーニングラード) |
職業 | 哲学者 |
名言 | 恩知らずとは、卑劣さの本質だ。 |
1724年4月22日、東プロイセンの首都ケーニヒスベルクの馬具職人の四男として生まれる。
両親はルター派の敬虔主義を奉じていたため、イマヌエル・カントもその濃厚な影響のもとに育つ。
16歳のときにケーニヒスベルク大学に入学。神学を志していたが、ニュートン(1642~1727)の活躍などで発展を遂げつつあった自然学に関心が向かい、哲学教授の影響のもと、自然学を研究した。
22歳のときに父が死去。学費が続かなくなったカントは大学を去る。その後の7年間は生活も苦しく、家庭教師をして生計をたてていた。
31歳のとき、カントは最初の論文で太陽系は星雲から生成されたと論証。また、ケーニヒスベルク大学哲学部に学位論文を提出し、学位を取得。同大学の私講師として職業的哲学者の生活に入る。
46歳のときにケーニヒスベルク大学から哲学教授としての招聘があり、カントは引退までこの職にとどまった。
1781年、57歳のときに『純粋理性批判』を発表。その難解さと斬新な思想のために同時代の読者に正しく理解されず、さまざまな議論が起こり、カントはドイツ哲学界の喧騒にみちた論争の渦中に入り込んだ。
続いて1788年に『実践理性批判』、1790年に『判断力批判』を発表。これらを総称し「三批判書」と呼ぶ。
カントは哲学的論争の渦中にいたがその学者人生は順調であり、晩年にはケーニヒスベルク大学総長を務めた。しかし、プロイセン王立ベルリン・アカデミーには招聘されなかった。
1804年2月12日、カントは79年の生涯を閉じた。
Wikipedia(日本語) / Wikipedia(英語)
カントの名言・格言集
カントの名言(1)
存在するとは、行動することである。
幸福とは理性の理想ではなく、想像の理想である。
未熟さとは、他人の指導なしでは自分の知性を使うことができないということである。
よく見なさい。
美とは取るに足りないものかもしれない。
わたしが生きている間、ずっと幸せである必要はない。
しかし、生きている限りは立派に生きるべきである。
もし虫けらのように振る舞うのならば、踏み付けられても文句を言ってはならない。
恩知らずとは、卑劣さの本質だ。
法律においては、他人の権利を侵害する時には罰せられる。
道徳においては、侵害しようと考えるだけで罪である。
苦悩は活動への拍車である。
そして活動の中にのみ我々は我々の生命を感じる。
我は孤独である。
我は自由である。
我は我みずからの王である。
善行はこれを他人に施すものではない。
これをもって自分自身の義務を済ますのである。
最も平安な、そして純粋な喜びの一つは、労働をした後の休息である。
宗教とは、我々の義務のすべてを神の命令とみなすことである。
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カントの本・関連書籍
『カント入門』(石川文康)
真理の最高決定機関であるはずの理性が人間を欺く二枚舌をもつとしたら、一大事ではないだろうか。この理性の欺瞞性というショッキングな事実の発見こそが、カント哲学の出発点であった。規則正しい日課である午後の散歩をするカントの孤独の影は、あらゆる見かけやまやかしを許さず、そのような理性の欺瞞的本性に果敢に挑む孤高の哲学者の勇姿でもあったのだ。彼の生涯を貫いた「内面のドラマ」に光をあて、哲学史上不朽の遺産である『純粋理性批判』を中心に、その哲学の核心を明快に読み解き、現代に甦る生き生きとした新たなカント像を描く。
『カント『純粋理性批判』入門』(黒崎政男)
すべての哲学はカントに流れ入り、カントから再び流れ出す。西洋哲学2000年の伝統を破壊した衝撃の書『純粋理性批判』。「私」「世界」「神」の考察から、「時間」「空間」の構造、形而上学の運命まで、あらゆる思考の極限を究めた哲学史上最大の金字塔を、やさしく、ヴィヴィッドに読みつくす。
『永遠平和のために』(カント)
世界の恒久的平和はいかにしてもたらされるべきか。カントは、常備軍の全廃、諸国家の民主化、国際連合の創設などの具体的提起を行ない、さらに人類の最高善=永遠平和の実現が決して空論にとどまらぬ根拠を明らかにして、人間ひとりひとりに平和への努力を厳粛に義務づける。あらためて熟読されるべき平和論の古典。
カントの名言・言葉の一覧
No. | カントの名言一覧 |
---|---|
1 | 存在するとは、行動することである。 |
2 | 幸福とは理性の理想ではなく、想像の理想である。 |
3 | 未熟さとは、他人の指導なしでは自分の知性を使うことができないということである。 |
4 | よく見なさい。美とは取るに足りないものかもしれない。 |
5 | わたしが生きている間、ずっと幸せである必要はない。しかし、生きている限りは立派に生きるべきである。 |
6 | もし虫けらのように振る舞うのならば、踏み付けられても文句を言ってはならない。 |
7 | 恩知らずとは、卑劣さの本質だ。 |
8 | 法律においては、他人の権利を侵害する時には罰せられる。道徳においては、侵害しようと考えるだけで罪である。 |
9 | 苦悩は活動への拍車である。そして活動の中にのみ我々は我々の生命を感じる。 |
10 | 我は孤独である。我は自由である。我は我みずからの王である。 |
11 | 善行はこれを他人に施すものではない。これをもって自分自身の義務を済ますのである。 |
12 | 最も平安な、そして純粋な喜びの一つは、労働をした後の休息である。 |
13 | 宗教とは、我々の義務のすべてを神の命令とみなすことである。 |
14 | 互いに自由を妨げない範囲において、我が自由を拡張すること、これが自由の法則である。 |
15 | 動物に対して残酷な人は、人間関係においても容赦ない。我々は動物の扱い方によって、その人の心を判断することができる。 |
16 | あらゆる事物は価値を持っているが、人間は尊厳を有している。人間は決して目的のための手段にされてはならない。 |
17 | 理論のない経験は盲目である。しかし、経験のない理論は単なる知的ゲームに過ぎないのだ。 |
18 | 愛とは感性に属する事柄であって、意欲に属する事柄ではない。だから、欲したからといって愛せるわけではないし、ましてや愛さねばと思ったから愛せるわけでもない。 |
19 | 我々は光のもとで暗闇を、幸福のもとで悲惨を、満足のもとで苦痛を思い起こすことはまれである。しかし、その逆はいつもである。 |
20 | 暗黒のなかでは、我々の想像力は明るい光におけるよりもたくましく働くのを常とする。 |
21 | 努力によって得られる習慣だけが善である。 |
22 | 自由とは、すべての特権を有効に発揮させる特権である。 |
23 | 酒は口を軽快にする。だが、酒はさらに心を打ち明けさせる。こうして酒はひとつの道徳的性質、つまり心の率直さを運ぶ物質である。 |
24 | 高慢な人は常に心の底では卑劣である。 |
25 | 人間はすべて、文明が進めば進むほど俳優になっていく。つまり、人間は他人に対する尊敬と好意、典雅と無私の風を装うが、それにたぶらかされる人はいない。 |
26 | すべての知識は経験に基づく。 |
27 | 真面目に恋をする男は、恋人の前では困惑したり拙劣であり、愛嬌もろくにないものである。 |
28 | 善行は義務です。 |
29 | 自分の一つ一つの行為が普遍的法則になるかのように生きるのだ。 |
30 | 天才は生得の心の素質であり、これによって自然は芸術に規則を与える。 |
31 | 真の人間性に最もよく調和する愉しみは、よき仲間との愉しい食事である。 |
32 | 1.私は何を知りうるか。 2.私は何を為すべきか。 3.私は何を望むのがよいか。 4.人間とは何か。 第一の問いに答えるのは形而上学であり、第二の問いには道徳、第三の問いには宗教、第四の問いには人間学が答える。結局これらすべては人間学に含ませてよいであろう。なぜなら最初の三つの問いは最後の問いに関連しているからだ。 |
33 | 民主政治は専制政体と変わらない。なぜならば、民主政治とは全員がひとりの意志を無視し、時にはこれに逆らって議決し得る。という全員ならぬ全員が議決し得る執行権を認めるからである。 |
34 | 人は人によりてのみ人となり得べし、人より教育の結果を取り除けば無とならん。 |
35 | 何度も繰り返し長い時間をかけて考えれば考えるほど、いつも新たな、いよいよ強い感嘆と畏敬とで心をみたすものが二つある。私の上なる星空と私の内なる道徳法則とである。 |
36 | 笑いは消化を助ける。胃散よりはるかに効く。 |
37 | 科学とは体系化された知識で、知恵とは整理された生活である。 |
38 | 徳にとってまず要求されることは、自己自身を支配することである。 |
39 | 内容のない思考は空虚であり、概念のない直観は盲目である。 |
40 | 崇高なものは我々を感動させ、美しいものは我々を魅了する。森は夜崇高であり、昼美しい。 |
41 | ドグマ(独断的な説)の死は、道徳の誕生だ。 |
42 | 信念のための場所をつくるために、わたしは知識を取り除く必要があった。 |
43 | 美には客観的な原理はない。 |
44 | あらゆる宗教は道徳をその前提とする。 |
45 | 教育は人間に課すことのできる最も大きい、難しい問題である。 |
46 | 人が財産を使うに際しては、慎重さとためらいとがある。それは善行ではないし、手腕も能力も必要とはしない。 |
47 | 友情関係は同等関係である。 |
48 | 我が行いを見習えと、誰にでも言い得るよう行為せよ。 |
49 | 哲学は学べない。学べるのは哲学することだけである。 |