芥川龍之介の名言(2)
周囲は醜い。
自己も醜い。
そしてそれを目のあたりに見て生きるのは苦しい。
私は不幸にも知っている。
時には嘘によるほかは語られぬ真実もあることを。
忍従はロマンティックな卑屈である。
あらゆる社交はおのずから虚偽を必要とするものである。
どうか英雄とならぬように –
英雄の志を起さぬように力のないわたしをお守りくださいまし。
他を嘲(あざけ)るものは同時にまた他に嘲られることを恐れるものである。
わたしは二三の友だちにはたとい真実を言わないにもせよ、嘘をついたことは一度もなかった。
彼等もまた嘘をつかなかったら。
人間的な、余りに人間的なものは大抵は確かに動物的である。
人間は時として、満たされるか満たされないかわからない欲望のために一生を捧げてしまう。
その愚を笑う人は、つまるところ、人生に対する路傍の人に過ぎない。
成すことは必ずしも困難ではない。
が、欲することは常に困難である。
少なくとも成すに足ることを欲するのは。
強者は道徳を蹂躙するであろう。
弱者はまた道徳に愛撫されるであろう。
道徳の迫害を受けるものは、常に強弱の中間者である。
好人物は何よりも先に、天上の神に似たものである。
第一に、歓喜を語るに良い。
第二に、不平を訴えるのに良い。
第三に、いてもいなくても良い。
女人は我々男子には正に人生そのものである。
即ち諸悪の根源である。
人生は一箱のマッチに似ている。
重大に扱うのはばかばかしい。
重大に扱わねば危険である。
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